戸を開け、外に出た。 風は止み、雪だけが激しく降っていた。 無言で落下する雪はみるみる草原を覆い、枯れ草を埋め、径(みち)を消し、森を隠し、遠くの大河を地平に溶かした。 ボクはカワカマス君のヴァイオリンを抱えたまま、誰もいない雪の草原を見送っていた。
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