骨が二本たりないコウモリ傘、芯のない灯油ストーブ、ガラス窓のわれたカンテラ、調節ネジがないランプ、ラベルが剥がれて、ほこりだらけのマデーラワイン、コルクにかびがはえたポートワイン---- でも中味はルビーのような鮮やかな色だった ! --- 取っ手が少し欠けた琺瑯のナベ、口の先がないヤカン、ヒマワリの油、小石の混じったソバの実、すり切れたトルクメン絨毯の切れっ端 --- ただその細かい織りは明らかにテッケ族のものと思われた -- 、麻布でつくった鳥のお人形 --- すっかり黒く汚れて、ミヤマガラスそっくりになっていた --- 、モスクワの救世主キリスト大寺院の絵葉書と、ボクの見知らぬ土地の絵葉書が何枚か。 そして、なかなか立派なスケッチブックと数本の鉛筆。 |