イスタンブールに行った「イスタンブールの占いウサギ」
 
2014年嬉しかったことの一つは、ヤンがイスタンブールに行ったことでした。ヤンの本とポストカードがイスタンブールを旅してきたのです。

2014年夏、tsubameさんご夫妻が、トルコ旅行に「イスタンブールの占いウサギ」の本も連れて行ってくれました。その時の写真を見せて下さったので、ご紹介します。

ピエール・ロティのカフェ。
テーブルの上の「イスタンブールの占いウサギ」

ピエール・ロティのカフェはイスタンブールの市街から少し行った高台にあって、ロティはここで代表作「アジャーデ」を書いたと言われています。このカフェは「イスタンブールの占いウサギ」では言及されていませんが、ヤンの占いの客になったフェズ帽を被りチョビ髭を生やしたフランス人にロティのイメージが重なります。ピエール・ロティはフランス海軍の艦長で、愛猫を乗せた艦船で世界を巡り、寄港地ごとに恋人あるいは現地妻と暮らし、オリエンタリズムの小説を書いた作家でもありました。そのなかでもイスタンブールはロティが最も愛した街であり、アジャーデは最も愛された女性でした。

カフェ・オデッサーイスタンブールの店内はピエール・ロティのカフェの内装から大きなヒントを得てデザインされていました。バラの花びらを加えたオリジナルブレンドの紅茶”アジャーデ”もメニューにありました。

ロティのカフェの屋外のテーブルの上に置かれた「イスタンブールの占いウサギ」と「アジャーデ」の本と紅茶のグラス。イスタンブールの陽を浴びて、本たちも憩っているようです。

ボスフォラス海峡を行くフェリーの上。
ヤンのポストカード
フェリーの上で掲げられているのは、「ボスフォラス、1922」のポストカード。まだ「イスタンブールの占いウサギ」が書かれる前、カフェ・オデッサーイスタンブールで販売されていたのもで、ポストカードに描かれたのと同じ風景がポストカードの向こうに現実の風景となって広がっています。

イスタンブールのガラタ橋に立って、「イスタンブールの占いウサギ」のポストカードを売るのが夢だ、と町田純は言っていました。イスタンブールに行った「イスタンブールの占いウサギ」とヤンのポストカードで、町田純の夢の一部が叶えられたような気がします。tsubameさんと奥様、ありがとうございます!

これまでに「イスタンブールの占いウサギ」を読んで、イスタンブールを旅した読者の方々、ハガキをくださったり写真を送ってくださった方も、みなさん、ありがとう!

2014.12.31   Mariko Machida