3. リアル・ヤン

web ページに real なヤンを載せること、これにはためらいがあった。チェーホフが生きていたら、きっと言っただろう。

「近頃のホームページとかいう代物、あれは、ぞっとしますね。どこぞの観光地の間の抜けた風景写真、可愛くもなんとも無い飼い犬や飼い猫。日記やら詩や小説。世界中、作家だらけと言う訳です。
僕の居る場所なんてどこにもありゃしない。早々と退散しますよ。

そう ! ネコ写真は HP の定番なのだ。 そしてボクも、そっとヤンの photo を載せよう。 とっくに恥をかいているのだから、いまさらどーってことはナイ !!
自分のために載せよう、印画紙とはまた違って見えるかも知れないから。
ヤンと過ごした10数年。本の中のヤンも、現実のヤンも、混然となって、いつしかボクの心の中で溶け合っている。
 たかがネコ一匹。
でもその一匹がいなければ、何も始まらなかったのだから。
……と、書きながら、いまだに迷っている……。 でも、……


ヤンは希望と優しさ、そして、おだやかで、なにも構わないこと。






ボロボロのヴェランダでおなかの毛をなめ、壊れかかった椅子で昼寝。







 何か来たかナ?……



…異常ナシ… 

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