エピローグ5
私はその後公安に連行され、精神病棟に閉じ込められる。
odessa1920号と呼ばれる囚人だ。
そして、死を待つ身となる。あれから姿を現さない死神を待ち続けて。

護送車はまるでロマの幌馬車に乗っている気分。「ジェレム、ジェレム」とつぶやく。

【エピローグのエピローグ】
私は病院の鉄格子のはまった窓から外を見る。
そこには丘が広がり、落葉の林が丘の頂にある。
その林の樹々の葉、一つ一つが秋の落日に黄色く染まっている。

私は再び出現する死神を待っている。彼は必ず現れるだろう。

そして、今度こそ私は死ぬのだ。しかし死は怖いものではない。
私は死神が最後に放った言葉を思い出す。
一瞬の刻、それは希望と絶望のアマルガム。それは永遠の最初のかけら。永遠が産まれ生ずる極微小な胚。

私は確信している。死は単なる絶望ではナイ。希望と融け合い、再び永遠を創り出すことを。
私は微笑を浮かべながら、新たな転生の刻を待っている。

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