じっと見つめていると、あまりのまぶしさに、ぼくの目は潤んできた。
ボクは机の上にたたまれてあった青い丸眼鏡をかけて、もう一度窓の外を見た。
しかし、青味がかった緑の白樺の葉が互いに重なり合い、閉ざされた森の入り口に子ネコの姿はもうなかった。
ボクはしばらく子ネコのいなくなった、道が森へ没するあたりを眺めていた。そして目をほんの少し上に転じると、樹々の先端から清々しい夏の光が広がっていた。
素通しの青ガラスは、散乱してこぼれ落ちる夏の光をひたすら吸収しながら、この力強く輝き渡る夏の風景を優しく、そっと、ボクの眼に届けてくれた。
そしてボクはエピローグの一行目を書き始める。
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