「古いワルツですね」とボクは戸を開けて言った。
「そうだね。昔、昔のワルツさ」とクマのおじいさんは答えた。
「なんという曲名ですか」と聞くと、
「ええと…」と思い出せないおじいさんは、仕方なくレコードを止めて、黒いラッカー盤の 赤いラベルを見ていた。
「ワルツ、ワルツ…」その先が読めないおじいさんは、丸くて青いレンズの眼鏡をかけて、
「ワルツ・フランソワ、カラシンスキ作だね」と教えてくれた。
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