東京新聞の「本音のコラム」に私の気持ちと同じ思いを述べた記事が載りました。
2023/10/14の朝刊、師岡カリーマさんの"二重基準と集団処罰”というタイトルのコラムを転載します。


     "二重基準と集団処罰”      師岡カリーマ

『歴史は10月7日に始まったのではない」。イスラエルのバラク元首相の顧問を務めた経験を持つ米国中東プロジェクトのダニエル・レビー所長は言う。「この悲劇に至る原因はイスラエル政府が作った。パレスチナ人が基本的人権さえ奪われ、平和的手段による打開のあらゆる道が閉ざされたら、武力に訴えるしかなくなってしまう」
 もともと私はハマスの思想や行動に強い拒否感を抱いてきたが、イスラエルによる長年の占領や人権侵害を一瞬にして世界に忘れさせ、パレスチナ問題の正当性を打ち消すような残虐さで行われた今回のハマスの攻撃にも衝撃と憤りしかない。
 代償を払うのは普通のパレスチナ人だ。封鎖された狭い土地に230万人(7割が難民)が暮らすガザ地区は、屋根のない監獄と言われる。イスラエルは今回の事件を受け、激しい空爆に加えて水・電力・食料のもともと乏しい供給を遮断した。
 「食料を武器として使うな」とロシアには説教する欧州連合も同調し「パレスチナ人への援助凍結・見直し」の動き。そもそもヨーロッパの勝手な都合で作ったパレスチナ問題の不条理による極度の困窮が根底にある事件への回答は、もっと困窮させることらしい。その健忘症と、ある戦争では占領を糾弾し、ここでは占領者を応援するアクロバティックな「人道主義」を見て、絶望感はさらに募る。』