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 アフマッドから手紙が届いた。「おばあさんが亡くなった」
 アフマッドはレバノンの難民キャンプに住んでいる。
 50年以上夢見続けたパレスチナの故郷の村を再び目にすることなく、おばあさんは逝ってしまった。
 
 アフマッドの父親はいない。
 訳あって、母親とも離れて暮らしている。
 大好きなおばあさんが亡くなって、どんなに悲しいだろう。
 
 イスラエルがアラファト排除=殺害を公表した。
 別に驚くことではない。
 イスラエルの首相シャロンは、始めからアラファトが邪魔だった。
 パレスチナ人全てを排除するためには、アラファトがいない方が楽なのだろう。
 アラファトがどうあろうと、パレスチナ人は毎日毎日殺され続けている。
 しかし、民主的な選挙で選ばれた国家の代表者の殺害を、こうも白昼堂々と、
 恥ずかしげもなく言える世界になってしまったことはコワイ。
 
 9月15日、イスラエル大使館への緊急抗議行動があった。
 行っても、空しいだけなのは分かっていた。でも、行った。
 集合時刻に30分遅れて、地下鉄から日テレの正面に出ると、
 アナウンサーだかタレントだかが、炎天下、フルーツパフェを持って、撮影中。
 シュールな白昼夢を見ているのだろうか、と迷ったのも一瞬。
 すぐにビルの横からシュプレヒコールが聞こえてきて、現実に戻る。
 日テレの駐車場入口の前に小さく人が集まっている。
 33人も集まったと、中から賛嘆の声が上がる。
 日テレの警備員が、営業妨害しないでくださいと、文句を言う。
 (車の出入りは一台もなかった)
 
 でも、どこに居ればよいの?
 道路を隔てた反対側、マンションとマンションの間の狭くて長い通路の奥に、
 イスラエル大使館はある・・・はず。
 (イスラエルに住むパレスチナ人には、「存在する非存在者」という、
 なんともシュールな分類があるそうだ。この大使館は「存在しない存在者」だ。)
 道路の大使館側には歩道もなく、30cm位の幅で歩行者用の白線が引いてあるだけ。
 でも、白線の内側には、大使館のガードマン・公安・警察官が2ダースあまり並んでいて、
 他の人たちの立つ隙間などはない。なるほど、イスラエル大使館に好都合の立地。
 最後に丁重な要望書を読み上げ、
    「これ以上パレスチナ人を殺さないで下さい。パレスチナの人の家を壊さないで下さい。
 パレスチナの土地を没収してユダヤ人の入植地を造らないで下さい。
 アパルトヘイト壁の建設を止めて下さい。
 イスラエルが占領を止めることが和平の第一歩であると考えます…」
 封筒に入れて、ガードマンに手渡した。ガードマンは封筒を調べてから(バクダンは入ってナイかな?タンソキンは?)
 塀に付いているステンレスの郵便受け(それともゴミ箱?)に入れるように指示。
 
 ムナしい気分を紛らわしたくて、帰り道、原宿の Book Off に寄り道した。
 場所柄、大した本はないけれど、何があるか分からないのが古本屋の楽しさ。
 よりによって、こんな時に、パレスチナ人作家ガッサーン・カナファーニーの
 「太陽の男たち/ハイファに戻って」を見つけてしまった。
 読み始めたら夢中になって、電車の中で立ったまま読み続け、乗り過ごしてしまった本。
 勿論、大切にとってある。だから、同じ本を買っても仕方がない。
 誰かが見つけて、買って、素晴らしい出合いをしてくれるかもしれない。
 でも、売れなかったら?・・・・・・・結局、買ってしまった。なんと100円!
 どなたか欲しい人はいませんか?
 
 もう一冊、ポーランド人トメク・ボガツキー作の絵本「すき」。
 温かいけれど媚びていない絵と話。なんだか正体不明の動物がかわいい。
 これも、持っているのに買ってしまった。これは200円。
 どなたか欲しい人いませんか?
 それぞれ詳しい紹介は、近々「書物的主張」に載せる予定。
 どうして持っている本ばかり見つけるのだろう???      (Text by かなりドラネコ)
 2003/9/18 (Thu)
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