戸を開けると、急に思い出したように吹く風といっしょに、
小さな袋をブラ下げたリスが立っていた。
……
「ア、どうもありがとう」とお礼を言ってから中をのぞくと、小さなドングリがぎっしり入っていた。
……
ボクは、卓の上で転がったドングリを見ながら、途方に暮れた。
どうやって食べたらいいのかわからなかったから。
(町田純 「カワカマスのヴァイオリン」より)
2022.1.15 Mariko Machida