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1917年のロシア革命から今年はちょうど100年。
このロシア革命の戦乱を逃れて、クリミアから黒海を渡ってイスタンブールにたどり
着いたヤンは、1920年12月、占いウサギに出会う。
「イスタンブールの占いウサギ」は、ロシアからの亡命者が溢れ、アルメニア独立運動に
関わる者たちが潜むイスタンブールの街を舞台にした物語だった。
ロシア革命に続く100年は戦争と革命の世紀だった。
2つの世界大戦と様々な革命、独立運動、解放闘争が続いた。
そして、2016年11月、キューバ革命の指導者フィデル・カストロが死んだ。
"革命の時代"の終焉、"革命"という言葉が激しい闘争と熱い希望と共にあった時代 が過ぎ
去ってしまったことを改めて告げるような出来事だった。
2017年、ロシア革命から100年。
遠くから聞こえるようでいて、近くにいるみたいな、懐かしい声が聞こえてくる。
「占いウサギだヨ〜、イェニの占いウサギだヨ〜」
「イェニのウサギによる占い。ヒク、ヒク……エーと、人間は耳に心地良い空疎な
言葉を叫ぶ権力者を支持して、差別と分断と抑圧の時代へと逆行して行くであろう。
戦争や紛争やテロが無くなっては困る軍需産業、……ヒク……金を動かすだけで利益
を生み出す金融システム、大企業だけに利益が集中し、……ヒクヒク……、
そんなヤツらの金で世界は意のままにされるであろう。エーと、しかし、その次には
粘り強く静かに、自由と平等と平和を目指す革命が続くであろう。暴力によって
ではなく、人々の意志の結集によって。……ヒクヒク」
そういえば、いつだったろう、
「カストロを後ろに乗せてオートバイで東京を走る夢を見た」
と、町田純は愉快そうに話していた。
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